ゆるリワークショップオーナーの辻本智美です。私は精神科医療の現場で20年以上、メンタル不調を抱える方の支援に携わってきました。その中で、メンタル不調で休職された方の復職支援もたくさん経験してきました。
無事に復職される方がいる一方で、復職後に再び調子を崩し、再休職となる方もおられました。
そうした方々を見てきて感じたのは、症状が回復しただけでは、復職後に働き続けることが難しい場合があるということです。
休職に至った要因が十分に整理されないまま職場に戻ると、復職後に同じような状況になったとき、また調子を崩してしまうことがあります。
だからこそ、休職に至った背景を振り返ったり、自分のストレスのサインを知ったり、自分自身の考え方や行動のパターンを見直したりすることが大切だと考えています。
そして、復職後にまた同じようなストレスにさらされる状況になったときに、「今度はどう対処するか」を休職中に準備しておくことも大切です。
そのための方法のひとつが、リワーク(復職支援)です。
私は医療機関でリワーク支援に携わってきたので、リワークはとても良いものだと思っています。ただ、誰もが利用できるわけではありません。
自宅から通える場所にリワーク施設がない方、家事や育児があって、週に何日も通うことが難しい方、休職期間が短く、リワークに通う時間がない方…。
「リワークを利用できたらいいけれど、通うことができない」
という方に、何か別の方法で復職準備を届けることはできないだろうか、と以前から考えていました。
そこで作ったのが、このワークブックです。
適応障害などで休職された方のお話を伺っていると、「つい悪い方向に考えてしまう」「自分で何とかしなければと抱え込んでしまう」「相手のことを考えると断れない」「無理をして頑張りすぎてしまう」といったことが、ストレスを大きくしている場合があります。
こうした考え方や行動のクセは、まず自分で気づくことが大切です。そして、いつもとは少し違う考え方や行動を試してみる。こうした練習は、リワークに通わなくても、自宅で取り組むことができます。
心理教育や認知行動療法の考え方を学びながら、自分自身を振り返り、普段の生活の中で少しずつ試していくことができれば、自宅でも復職に向けた準備につながります。
私はオンラインで個別のリワーク支援も行っています。個別支援では、その方の状況に合わせて一緒に考えられるという大きなメリットがあるのですが、個別で支援するため、どうしても費用が高くなってしまいます。
そこで、もっと気軽に、自分で復職準備に取り組める方法を届けたいと思ったのです。
復職した後は、自分自身でストレスに気づき、対処していくことが必要になります。そう考えると、休職中から自分で考えたり、試したりしながら復職準備に取り組むことにも意味があると思っています。
そこで、これまでリワーク支援で大切にしてきた内容を、自宅で、自分のペースで取り組めるワークブックにまとめました。
一人で取り組めそうな方は、ワークブックだけで進めていただけます。「これで合っているのかな」と不安な方には、ワークの添削を受けられるプランも用意しました。
すでに復職したものの、職場でのストレスや働き方に悩んでいる方にも、実際に起きた出来事を振り返り、自分に合った対処方法を考えるために活用していただけます。
このワークブックが、自宅で復職の準備をしたいと思っている方に届き、復職することだけではなく、その後も無理なく働き続けるために役立つものになればと思っています。
PROFILE
辻本智美
作業療法士/公認心理師/精神保健福祉士
2001年より精神科医療の現場で、メンタル不調を抱える方のリハビリテーションや、精神科デイケアでの就労・復職支援に携わってきました。
2013年
認知行動療法研修会修了
SSTファーストレベルコース修了
2023年
日本うつ病リワーク協会医療従事者研修修了
2024年
オンラインリワーク「ゆるリワーク」を開始
2026年
第32回多文化間精神医学会学術総会にて「オンラインによる復職支援プログラムの実践報告」を発表